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三月三日はひな祭り。うちの学校では日本語の先生が毎年日本人の友達を招いてちょ
っとしたお祝いをする。といってもイギリス人の女の子たちにひな祭りがよく分かる わけでもなく、つまりはひな祭りを通して「日本の文化をこっちの子達にも知っても らおう!」というわけだ。12,3歳の女の子たちを昼休みに集めて、着物を着せて あげたり、雛人形を飾ったり、折り紙を折ったり、また日本のお菓子をつまんでみた り、2年ほど前は私も交換留学で来ていた友達と手伝ったがなかなかよくできている と思う。今年は別にひな祭りであることにも特に注意を払わず、昼休みの後、自由時 間でふと図書館に足を運んでみたら日本語が聞こえてきた。手伝いに来ている人たち はだいたいみんな、40とか50代の家族と一緒にこっちへ来た主婦の方たちだと思 うが(一人おじさんもいたと思う。)、、なんかやけに声のボリュームが大きい!話 の内容自体はありきたりでなんでもないけれど、イギリス人の図書のおばさんたち、 自由時間に図書館で自習している子達はこの異国の言葉と笑い声をどう思うのだろう か。 最初に言っておきたいのは、あたしは別にイギリスで、イギリス社会のど真ん中にい てでも日本語を話す事には別に反対しない。(会話の輪の中に日本語が分からない人 がいる場合は別だが。)どこに行ったって日本人が日本人である事に変わりはないし 、イギリス人が日本人を見て日本人だと意識する事に変わりはない。イギリス人やア メリカ人などが日本へ来たときなど英語で強引に押し通していくのに、日本人が彼ら の国へ来たとき日本語で話して肩身を狭く感じるなんてなんか納得いかない。それな のに、その時図書館にいたあたしは、日本語の分からないイギリス人たちがどう思っ ているのかかなり気になった。 「あぁ、また日本人がかたまってるよ。」「なんか日本語ってミステリアスでいいな 。」「何話してるんだろう。」「・・・。」などなど。 理解のできない事に対して人の想像はただ膨らんでいくだけだろう。悲観しすぎてい るのかもしれないが、あたしは「誤解される事」がすごく嫌だ。その対象が私自身で あっても日本人であっても。でも、相手の事を良く理解していなければ毎日の簡単な コミュニケーションをとる事だけでも誤解のきっかけになってしまう。このことを強 く感じたのはあるインターナショナルスクールにいたとき。そこではいろいろな国か らきた英語がまだ上手く話せない十代の子達がいっぱいいた。あたしもその一人。大 人だとそれぞれ自分の目的があってこっちに来ている人が多いが、十代の子供たちは そうじゃない。将来を見据えて親に留学を勧められた子、無理やり送られた子、また は親と一緒に移住してきた子達なんかが結構いる。そこまで英語を話す事に関心がな い子達なんか、簡単に母国語で会話できる子達とすぐにグループを作っちゃう。どこ にでも大勢いる中国人が輪になって早口で話している様子なんか、日本人が抱く典型 的なイギリスのイメージにはこれっぽっちも入ってないだろう。しかも、一度国別の グループができちゃうとそれぞれのグループの間に壁ができちゃう。そしたら相手の 考え方や文化を知るきっかけを失う事になるし、相手のことを良く知らなければ少し の思い違いやなんかで相手にたいして悪い印象を持つきっかけになるかもしれない。 壁があるからそういう誤解は誤解を招いて悪循環。そのうえ、そういう悪印象がその グループの子達だけじゃなくて、他の、同じ国から来た人たちにまで及んで溝は深ま るばかり。例えば、そのインターナショナルスクールでは、あたしは唯一の日本人の 女の子だった。だから日本人同士でかたまることはなく、韓国人と台湾人の子達と仲 良くなった。他には中国人の女の子ばかりのグループが一つあって表面上はみんな愛 想良くしてたものの、今ひとつ打ち解けられないような雰囲気がいつもあった。ある 日、中国語の話せる台湾人の友達がその中国人のグループの子の会話をたまたま聞い て、内容を英語で教えてくれた。彼女たちの会話の中で、あたしは「Em」ではなくつ ねに「The Japanese Girl」と呼ばれていたらしい。話の内容はなんにしろ、それか らのあたしは中国人の女の子の集団を見るたびに、周りへの愛想のよさに違和感を感 じずにはいられなかった。もちろんその違和感は他の中国人を知るごとに薄らいでい ったけど。 この違和感や疎外感のスケールを何倍にもしたものが今の日本と朝鮮、中国、又は韓 国の間に広がる溝なんじゃないだろうか。(あたりまえ、とか言わないで。笑。)そ りゃ、対抗意識やなんかは年配のもっと戦争を身近に感じた方々(または今のそれぞ れの国の政治を操るおじさんたち。)の間にあるものであって私達若い世代では薄れ てきているのかもしれない。語学学校やなんかで国境を越えた友情の絆を結ぶ人たち もたーっくさんいるだろう。ただ、相手の事を、文化を、生活の仕方、信仰、考え方 を知らないことによって生まれた小さな誤解が大きく育って数多くの人々に及ぼす影 響力を真剣に受けとめる人がどれくらいいるんだろう。じかに自分の経験から得た知 識ではなくメディアを通して知ったできごとに頼って、真実とはかけ離れた先入観を もち、それが実際は現実ではないことすら知らずにいる人もいるんではないだろうか 。日本だけじゃない、もっと深刻な状況はパレスチナやイスラエルなどの中近東で起 こっていて、そういう隔離された国々の子供たちはそれぞれ相手の考えを知らないま ま大きくなっていくんだろう。そしたらどうなる?このままでいずれ戦争はなくなる ?...。 留学生にできる事は日本以外の文化のあり方を知り、自分の文化を伝える事。帰国生 にできることは、海外に出た事がない人と自分の知識や経験を分かち合う事。(いや 、他にもすることあるとおもうけど。。。勉強とか、勉強とか、勉強とか。...うゥ っ!)無駄な誤解がないだけで、物事があきれるほどシンプルになる経験をした人は 少なくないと思う。でも、必要ない誤解に人間関係をすごく複雑にされたことがある 人の数だっていっぱいいるはず。ってかあたしには頻繁にある!。だからあたしは「誤 解される事」が嫌だ。できれば「誤解するほう」にもなりたくない。
by kikolog
| 2005-03-15 13:04
| キコク的現地生活
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